発達障害のある受刑者、医療・福祉の連携で更生へ
大阪刑務所でモデル事業開始 法務省
法務省は18日、発達障害やその疑いのある受刑者を対象に特性に応じた処遇や社会復帰支援を行うモデル事業を大阪刑務所で開始したと発表した。現行の懲役刑と禁錮刑を一本化し、受刑者の更生や社会復帰を促す柔軟な処遇を推進する「拘禁刑」が2025年6月に導入されるのを見据えて実施する。【渕本稔】
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モデル事業では、西日本成人矯正医療センター(大阪府堺市)の刑務官や教育専門官(法務教官)、調査専門官(心理技官)、福祉専門官(精神保健福祉士)などによる多職種チームと連携し、受刑者のアセスメントや個別の処遇・支援計画の立案と策定、処遇・支援プログラムの開発とメンテナンスなどの援助を受ける。
対象となる受刑者は、大阪刑務所に収容されている発達障害やその疑いがある約30人で、受刑者個別の特性に応じた刑務作業や機能向上作業、自立した日常生活に役立つ改善指導を行う。そのほか、地方更生保護委員会や保護観察所をはじめとする関係機関と連携し、出所後を見据えた早期からの社会復帰支援を実施。受刑者の支援方針をチームで検討するケース会議を行いながら、引受人などに対する助言や指導など、出所後の生活環境の調整も行う。
現在、対象者の選定を進めており、12月上旬に数人をモデル事業へ編入予定。支援は受刑者ごとに1年間実施する。
モデル事業終了後、法務省は効果を検証した上で、多施設への展開を検討する予定だとしている。
法務省が23年5-6月に行った特別調査によると、入所後間もない受刑者の精神状況や成育歴などを調べる刑執行開始時調査を実施した877人のうち、発達障害やその疑いのある人は12%と、10人に1人以上の割合だった。
一方、発達上の課題がある受刑者の特性に応じた矯正処遇や支援などの実施は十分でなく、刑務所や少年刑務所などでは、そうした処遇や医療的措置、福祉的支援を行うための専門知識やノウハウの不足が課題とされている。
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